コミュニティディストリビューション特許ポリシー FAQ
バージョン: 1.0 発行: 2011年7月8日
この文書は誰に向けたものか?
この文書は、特許および特許に関連する法的責務についての有用な情報を、フリーまたはオープンソースソフトウェア (FOSS) のコミュニティディストリビューションに従事する開発者のために提供します。 この文脈でのコミュニティディストリビューションとは、ボランティアで構成された組織 (いずれも営利目的では活動していない) によって保守・配布される、フリーソフトウェアのパッケージのコレクションを指します。 そのようなコミュニティベースのディストリビューションは、その成果物を販売ないし寄贈できます。手段としては CD、USB ストレージメディア、課金ダウンロードなどや、無償での配布などによります。
この文書は、Debian プロジェクトの要請に基づいて Software Freedom Law Center (SFLC) の法律家によって作成されたものですが、類似のコミュニティ FOSS ディストリビューションにとっても役立つことでしょう。 法的な事項についての記述は、執筆時点における米国法に対しては正確ですが、その他の法制度にも適用できるでしょう。 ただし、この文書は法的な助言を構成するわけではありません。 これは特定の事実関係の分析に基づいたものではありません。よって、以降に示すような質問に回答を求められた法律家は、その特定の状況における事実と背後関係を確認する必要があるでしょう。場合によってはここで与えられている情報に変更を要するかもしれません。 実社会の状況において、あなたのプロジェクトの法的権利や責任に作用する決定を行うに際し、SFLC やその他の法律家に相談することなくこの文書を無条件に頼るべきではありません。
特許とは何か?
特許 (patent) とは、その特許に対して限定された期間、主張される発明の製造・販売・販売権・製造委託・輸入についての独占的な権利を発明家に与える、国家によって許可された独占権です。 特許保有者は、排他的あるいは非排他的な条件で、上記の権利の 1つないし複数の権利を行使するライセンスを与えることができます。
特許の期間はどのくらいですか?
一般に、大半の政府によって過去 15 年に発行された特許は特許出願申請日から 20 年で失効します。1995 年 6 月 8 日よりも前に申請された米国特許は、発行日から数えて 17 年、または申請日から 20 年のどちらか遅いほうまで保護されます。
例外はあります。発行局または裁判所により、特許はその期間を延長できることがあります。とはいえ、ソフトウェア特許においてこれが発生することはまれでしょう。 特許条項は、出願手続中、すなわち発行に先立つ特許局の手続き中に、申請者との合意に基づいて短縮されることもあり得ます。 特許期間が出願手続き中に短縮されていた場合、terminal disclaimer
声明が特許の最初のページに示されます。
特許保護と著作権保護はどう違うのですか?
著作権権利者は、著作権のあるプログラムの複製を認可を受けずに他者が製造することを妨げる権利を持ちますが、同じ機能を持つプログラムを別個に創成することを妨げる権利はありません。 別個の創成物はその結果、著作権侵害の申し立てに完全に抗弁します。 加えて、フェアユース
は、いかなる著作権機構においても、著作権侵害申し立てに対する抗弁であり、また著作権の明文化された制約です。 特許法はフェアユースでの免除を欠いており、独立した製造物、調査目的、相互運用のためのリバースエンジニアリング、教育目的といったことも、特許侵害の主張に対して抗弁になりません。
世界共通特許のようなものはありますか?
今のところ、世界共通特許は存在しません。出願が一本化され得る EU を除き、特許は一般に、特許保護を求めようとする各国ごとに出願されなければなりません。
特許の請求範囲とは何ですか?
特許の最も重要な部分である請求範囲
(claim) は、特許が適用される発明の実際の範囲を決定します。請求範囲のみが、独占的な権利で保護するものは何かを定義し、認可なしに請求範囲を実践することをその侵害と見なします。 特許の請求範囲を読んで理解することは、ある製品や手続きが特許を侵害しているかどうかを判断するための鍵となります。
各請求範囲は、単一の文です。 請求項は前段
(preamble) で始まり、その後に 1 つないしは複数の制約
(limitation) が続きます。
ソフトウェアが特許侵害と見なされるには、そのソフトウェア (あるいはソフトウェアが組み込まれたシステム) は、その特許の各請求項のすべてを実装している必要があります。もし請求項の 1 つ以上が実装から漏れていれば、直接その特許を侵害していることにはなり得ません。
独立請求範囲とは何ですか?
特許の請求範囲は、それが他のどの特許の請求範囲も参照していない場合、独立
(independent) と呼ばれます。
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従属請求範囲とは何ですか?
従属請求範囲 (dependent claim) は、その特許内で明示的に他の請求範囲の内容に結合します。 従属請求範囲は、1 つ以上の追加の制約を含むので、それが依存する請求範囲よりも必然的に範囲がより狭くなります。 ベン図の用語で言うと、従属請求範囲の適用領域は、それが参照する請求範囲の適用領域で完全に包含されます。
ソフトウェア関連特許の請求範囲はどのように書かれたのですか?
最近発行された特許におけるソフトウェア関連特許の請求範囲は、システム
または装置
の請求範囲、手法
の請求範囲、コンピュータプログラム製品
あるいはコンピュータで読み取り可能なメディア
の請求範囲の形をとっています。 システムの請求範囲は、ある種のマシンまたは静的な物体として、システムの要素 (1 つ以上のコンピュータを含むことがあります) を列挙しています。 手法の請求範囲は、アルゴリズムの形式をとります。 コンピュータで読み取り可能なメディアの請求範囲は、概して特許内で関連するシステムまたは手法の請求範囲にあるものと制約が重複しますが、ストレージまたは配布メディア内に収録されたソフトウェアの保護を目的としています。 コンピュータで読み取り可能なメディアの請求範囲は、しばしばデータ構造やユーザインターフェイスに焦点を当てた発明の請求の際にも使われます。
特許に関連する法的責務
とはどのような意味ですか?
責務
(liability) は、裁判所によって執行可能な法的な責任です。 この文書においては、私たちは、当事者の特許侵害を認定したときに裁判所が与える命令を含めて特許に関連する法的責務
という言葉を使います。 たとえば、当事者に特許侵害が認定されると、裁判所はその者に、特許保有者への賠償
(damage) と呼ばれる金銭支払い、あるいは差し止め命令
(injunction) と呼ばれる侵害行為の停止を命令できます。
特許侵害
とはどのようなことを意味しますか?
特許侵害 (infringe) とは、その請求範囲の 1 つ以上を認可を受けずに実践することを意味します。 特許の請求範囲で述べられている全要素を実践するソフトウェアを誰かが使用、製造、販売、製造委託、販売、販売権提供、輸入を行うと、特許はそのソフトウェアに侵害されます。
直接の侵害がなくとも侵害の責を負う可能性はあります。 侵害の寄与
または教唆
も、特許に関連する法的責務を引き上げます。
侵害の教唆とは何ですか?
侵害の教唆
(inducing infringement) とは、他の誰かが特許を侵害するのを積極的に奨励するという意味です。 責務は、第三者が侵害するよう仕向ける目的を、告発された当事者が提供していることが条件です。 加えて、教唆者は特許の存在を知っているか、特許の存在を強く疑っていて、かつ特許について知ることがないよう努力していることが条件です。 もし、たとえば特許の請求範囲について知識を持つ誰かによって文書が書かれ、その文書が特許侵害となるやり方でプログラムの使用方法を説明している場合、その行為は侵害の教唆をはらむ可能性があります。 ソフトウェアパッケージや関連文書を保守するボランティアコミュニティにおいては、文書を作成するボランティアが特許侵害の疑いがあることを知っているのでない限り、彼ら/彼女らが侵害の教唆に相当することはありません。
寄与侵害とは何ですか?
寄与侵害
(contributory infringement) とは、特許侵害を手助けする材料を提供することを意味します。 ソフトウェアの文脈においては、侵害機構を生成するために他のソフトウェアまたはハードウェアと組み合わせることのできる、特許侵害しないソフトウェアを提供することを意味します。 寄与侵害は、特許侵害の認識も要件です。 さらに、ソフトウェアが侵害ではない用法を本質的に持つ場合、たとえ侵害のための組み合わせの中で実際に使われていたとしても、そのソフトウェアを提供することは寄与侵害ではありません。
特許侵害の結果はどのようなものですか?
当事者に特許侵害が発覚した場合、裁判所は侵害行為の停止、あるいは過去の侵害についての賠償の支払い (またはその両方) を命令するかもしれません。 この文書では、私たちは、これらの結果すべてを含んで 特許に関連する法的責務
(patent liability) という言葉を使います。
差し止め命令とは何ですか?
差し止め命令 (injunction) は、裁判所が個人 (または複数人) に何か行うよう、または何か行うのを控えるよう命令することです。 差し止め命令に違反することは、法廷侮辱と見なされます。 差し止め命令は、侵害が進行中の状況での不利益を防止するための仮処分
(preliminary) によるものと、結審により法的責任が明確化された後の救済手段としての最終決定
(permanent) があります。 特許保有者の権利を保護するには不十分な状況であることでの損害を裁判所が認定し、差し止めが妥当に思われ、そして公共の利益が差し止め命令によって損われない場合に、係争中の侵害行為を防ぐための仮処分として、差し止め命令が発行されることがあります。 侵害行為を防ぐための最終決定は、侵害の法的責務の認定結果です。
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差し止め命令は、FOSS ディストリビューションに対して発行されることがありますか?
はい。 FOSS ディストリビューションに誰かの有効な特許の侵害が認定された場合、侵害するプログラムまたは機能の配布を継続することに対して、最終決定の差し止め命令が発生する可能性は十分あります。
とはいえ、そのような差し止め命令がディストリビューション全体あるいは全体のパッケージの配布を妨げるとは考えにくいですが。 ソフトウェアが以降侵害しないように機能または機能セットを無効にするか変更する必要があったり、特許侵害の発生と見なされるような国では全面的に削除したりといった可能性は、よりあり得るでしょう。
さらに、危険のある特許の請求範囲を避けた設計は、機能 (群) の削除を防止できます。 特許の請求範囲の要素が 1 つでも実践されていなくなれば、すでに述べたとおり特許の請求範囲を侵害しているとはもはや言えません。 米国の特許訴訟において、請求項の文言解釈での決定的瞬間はマークマン・ヒヤリング
で、その後法廷で問題になっている特許請求項の、この訴訟で使う目的での内容の意味についての判断が下されます。 マークマン・ヒヤリングが開催され、主張された請求範囲の領域が狭められ決定的な形で定義されれば、それを避けて設計することはずっと容易になります。
損害賠償とは何ですか?
特許法における損害賠償は、特許侵害についての責を被告が負うと見なされたときに、裁判所によって原告に与えられることが認められた金銭です。 法律は特許侵害の最大損害賠償額を定めてはおらず、最小、すなわち侵害者による発明の取り扱いについての応分の特許権料を定めています。 加えて、故意の侵害の場合、裁判所は実際の損害の 3 倍まで賠償を引き上げることができます。
故意の侵害とは何ですか?
侵害者が、特許が無効である、あるいはその行動は侵害ではない、という誠実な確信を持っている場合を除き、侵害者が特許を知っているときに、その侵害は「故意」です。 特許保有者は故意であるとするすべての構成要素を示さなければならず、米国裁判所においては明確かつ説得力のある証拠
(clear and convincing evidence) と呼ばれる、より高い水準の証拠が必要です。
事前に特許の認識はありませんでしたが、それでも責を負う可能性はありますか?
特許の認識は、もし当事者が直接侵害で告発されている場合、一般には必須ではありません。 侵害の教唆または寄与の責を負うと見なされるには、前述したように、特許の認識または特許の開示内容を避けるための特定の作用が必要条件です。
実際には、特許保有者は通常、侵害していると疑わしい対象に対して、認可を得るよう要求します。 当事者がその提案された認可を取得してくれれば、特許所有者は当事者を告訴する必要なしに特許権使用料を得られます。 当事者が認可の取得を拒否した場合、特許保有者は彼ら/彼女らに通告し、その結果、より高額の損害賠償と弁護費用補償の可能性につながる、請求範囲を故意に侵害しているという立場に置きます。 おそらく (確実ではありませんが)、コミュニティベースのディストリビューションは特許侵害で告訴される前に、認可を受けるよう要求する書簡を少なくとも 1 通は受け取るはずです。
侵害が偶然や不注意によるものだった場合、あるいは故意ではなかった場合にはどうなりますか?
前述のとおり、故意でない、または不注意による侵害は故意 (willful) にはなりません。 意識と意図の両方が必要条件なので、偶然の侵害の寄与あるいは教唆もまた故意にはなりません。 ただし、意識と意図がなくとも、継続して侵害ソフトウェアを使用、販売、製造、製造委託することで、直接の侵害の責を負う可能性はあります。
特許の存在にどのように気付くのでしょうか?
特定の特許の存在に気付くことになる可能性は、無数にあります。 特許保有者から直接連絡を受けることは別として、Web の検索やメーリングリスト、あなたの職務でのつながりなどを通して、特定の特許について知る可能性があります。 あなたに関係する特許に気付いてしまった場合、そのような知識や推測をパブリックフォーラムで共有するよりも、弁護士に話すのが最善です。
特許侵害行為に対して可能な防御策は何ですか?
まず、特定の状況下での事実および事情に固有の多数の防御策があると言えますが、それを見つけてそのような防御を発展させるのは法律家の仕事です。 その中でも次のいくつかの防御策は、ほとんどの場合に使える、あるいは使える可能性があります:
許可: あなたが請求範囲の利用許可を持っているならば、あなたは侵害の責を負いません。 そのような許可は明示的である場合があります。 明示的な許可はライセンス
(license) と呼ばれます。 許可は暗黙のものである場合もあります。 これは、あなたが依存する許可を構成すると考えられる、特許保有者の行為または言明に起因します (法律家はこれを禁反言
(estoppel) と呼んでいます)。 法律家が懈怠
(laches) と呼ぶ、その権利の上で寝ようとする
ことで事実上侵害行為を許可してしまっている、特許保有者の完全な怠慢に起因することもあります。
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非侵害: 非侵害の裁定は、どの特許の請求範囲も実際に被疑ソフトウェアを包含
(read on) していないことを示すことです。 言い換えると、ソフトウェアが、何かの請求範囲に列挙された要素のいずれも実際に実装していないということです。
無効: 特許が無効であるなら、それが侵害されることもありません。 無効は、特許の主題が特許法の範囲外にあるという証明を示して請求できます。 米国法下では、特許に新規性がない
(non-novel) あるいは自明
(obvious) であると論証することでも示せます。 特許法においては、特許を有効なものにするために、主張される発明が、それが発明された時点で同分野において通常の技能を持つ同業者
(person having ordinary skill in the art) に有用で、実践を再現でき、新規性があって、自明ではないものでなければなりません。 そのため、無効抗弁では、特許がこれらの要件のどれかに適合していないことをを示すことになります。
FOSS コミュニティに対しての特許侵害訴訟の例を挙げられますか?
いいえ。幸いにも、そのような訴訟事件はごくわずかにあったものの、まだ最終審理まで発展したものはありません。 今までのところ、争点のほとんどについて、フリーソフトウェアディストリビューションに特有のものであると裁判所が扱ったことはありません。 私たちは、これは FOSS コミュニティが特許権使用料を払うだけの十分な資力
を持たず、大きな収入を得ているわけではない個々の開発者を告訴することは、何ら有用な成果の達成なく特許保有者に悪評をもたらすだけだからと考えています。
私たちは FOSS ディストリビューションであり、収益は何もありません。もし裁判所が賠償を認めた場合、どのように私たちはそれを支払うのでしょうか?
法的リスクやプロジェクトの責任についての他のすべての類似の問題と同様に、この問題はそのプロジェクトの法的構成や取引関係といった細部に強く依存します。 特許侵害による賠償判決のリスクやその他の責務を含め、プロジェクトがどのように法的リスクを扱うかの一般的な解はありません。 SFLC、Software Freedom Conservancy、Apache Software Foundation、Free Software Foundation、Software in the Public Interest、その他の組織は、プロジェクトを法的な文脈に置き、組織がこれらの疑問を解決できるよう、一般的なレベルでの手助けをします。 あなたのディストリビューションまたはディストリビューション内のプロジェクトが潜在的な法的責務に直面しているという確信があるなら、私たちか、上記に挙げた組織に相談すべきです。
私たちは FOSS ディストリビューションであり、収益があります。このことで、特許侵害訴訟をより受けやすくなりますか?
収入を得ている人は誰でも、告訴しようとしている特許所有者にとって、賠償を支払うだけの収入を得ていない他者よりもずっと人目を引くターゲットとなります。 まったく収入を得ていないコミュニティディストリビューションは、魅力的なターゲットではありません。 とはいえ、仮にあなたが年間数十万ドルの売上を得ていたとしても、Microsoft (あるいは Red Hat) の営利企業の規模に比較すれば、いわゆる特許ゴロにとってもまっとうな原告にとっても、訴訟費用を使う価値があなたにあるとは思えません。
ソースコードの配布は、オブジェクトコードの配布よりもより安全だと聞きました。本当ですか?
はい。ソースコードの配布は、いくつかの理由からおそらくバイナリの配布よりもより安全です。 まず、ソースコードは、特許公開そのものと同様、発明そのものというよりは発明がどのように動作するかを示すものです。 ソースコード単体で特許を侵害できるのであれば、特許のコピーを渡すことは侵害ではない、というのを理解することは難しくなります。 次に、米国において裁判所はソースコードを言論と捉える可能性があり (私たちはそう捉えるべきだと確信していますが)、そうであればソースコードの作成は、米国憲法修正第 1 項 (すなわち言論の自由) に基づくことになります。 私たち SFLC はこれらの論点を申し入れた摘要書数通を最高裁判所に送ってきましたが、裁判所には未だ届いていないか、決定はされていないようです。 なお、前述したように、別の誰かが特許侵害することを可能にするか助長した場合に特許侵害の法的責務を課される可能性はありますが、認識および意図の要件は、そのような二次的な責務という立場においてはより厳正となります。 と言うのも、ユーザは侵害を行うためには最初にソースコードをコンパイルしてインストールしなければならず、裁判所がコミュニティに侵害の教唆、寄与の責務があると見なすとは思い難いからです。
コミュニティディストリビューションプロジェクトの関係者として、特許侵害で最も告訴され得る人は誰ですか?
これはディストリビューションというよりも潜在的な特許侵略者にとっての問題です。 コミュニティディストリビューションは、雇用や監督といった階層構造のないボランティアで構成されているので、トップ
を告訴する、という告訴はできません。 侵害が意図と認識、あるいは知られていない特定の作用を必要とし、そのような侵害の教唆または寄与が行われた場合、おそらくはそのような意図や認識を持つ個人を見つけて彼/彼女個人を告訴する必要があります。 コードや文書を書く人が特許を読まず、またあるパッケージのコードを開発するボランティアがそのパッケージや関連パッケージを保守していない、ということであれば、攻撃者は結局、誰かを告訴するのは困難だと気付くでしょう。
しかしながら、どの状況においても、その詳細が間違いなく決定的に重要です。この種のあらゆる件と同様に、もしあなたのディストリビューションや貢献者に対して特許が行使されそうである、と考えられるなら、今すぐ SFLC または他の法律家に連絡すべきです。
あなたは開発者や貢献者に特許を読まないほうがましと示唆しているのですか? もしそうなら、それはなぜですか?
はい。残念ながら米国の特許法は、特許をくまなく調査することに負のインセンティブを作ってしまいました。特許機構に与えられた主たる根拠の 1 つが、特許はそのままでは秘密のままだったかもしれない発明をどのように実践するかを公衆に教示するものである、ということにもかかわらずです。 特許に気付いていながら侵害を目論んでいたとき、故意
(willful) の侵害行為は侵害者の損害賠償を引き上げることになります。つまり、特許を読むということは、その後の侵害行為を故意と見なされる確率を上げることに他なりません。 その上、私たちは、開発者がしばしば、彼ら/彼女らの発見した特許が実際よりもより広範囲なものであると仮定し、それゆえに過度にあるいは不必要に恐れてしまっているのを目にしています。それでも特許検索を行おうというのであれば、まずは法的な助言を求めるべきです。
私は米国外にいます。何か心配したほうがよいことはありますか?
ほとんどの国は世界知的所有権機関 (WIPO; World Intellectual Property Organization) に加盟しており、特許協力条約 (PCT; Patent Cooperation Treaty) に調印していますが、大企業は一般にその特許取得活動をビッグスリー
、すなわち 米国、EU、そして日本に限定しています。 これはほとんどの企業にとっては十分な保護と考えられています (やがては特許権が政府およびビジネスコミュニティによってまずまず尊重されるであろうという期待を込めて、中国において企業の特許出願の提出が増加してはいますが)。 加えて、韓国やカナダのようなその他の管轄権内で活動する大規模な多国籍企業は、通常、特許出願を国際的に提出する前に自国で提出します。 インドでは、「ソフトウェアそのものは特許を受けることができない」と明確に法令で宣言されているにもかかわらず、いくつかのソフトウェアが特許化されています。 インドの SFLC は、そのような特許に対して異議申し立てを始めています。
しかし、どこであなたが活動しているにせよ、特許を侵害するソフトウェアはそのような特許が発行されている国で輸入できません。つまり、少なくともあなたの想定するユーザに広がる可能性について考慮する必要があるということです。
例のごとく、あなたの立場や法的責務について疑問がある場合は、地域の法律家に相談することが適切な手段です。
特許侵害による私たちの危険を限定するためのガイドラインはありますか?
はい。この文書は特許リスクを啓発することを目論んでいます。読者各自の特定の状況についてアドバイスを与えることは困難ですが、ピックアップできるいくつかのガイドラインがあります。
特許を読むことは、特にフリーソフトウェアプロジェクトに寄贈しようとするものをどのように設計すべきか調査しているとき、コミュニティを本来は不必要だった法的責務にさらすかもしれません。
ソースコードを配布してオブジェクトコードを配布しないという一部のフリーソフトウェアコミュニティは、抱える特許リスクはやや少ないでしょう。
フリーソフトウェアを商業的に配布することは、おそらくソフトウェアを無料で配布するよりも危険が高まります。
ディストリビューションから機能やパッケージを迅速かつ容易に削除する能力を持つことは、コミュニティが被り得る損害の緩和の助けになります。
特許訴訟はアマチュアスポーツではありません。もしあなたに対して特許を主張する恐れがある誰かからの連絡を受けたら、Software Freedom Law Center か、その他の有資格の弁護士にできる限り速やかに相談してください。
謝辞: この文書は、Debian プロジェクトのために、Stefano Zacchiroli からの意見提供と併せて SFLC の法律家によって用意されました。
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