ブログテーマ[教員組合]|アメリカ・K-12の教育政策・最先端レポート -データ分析の観点から
アメリカの教員組合の実態について出版された本の内容に関する批評記事。
Immune to Reform
今日はアメリカで常に注目されるアメリカ・教員組合の実態について書かれた記事(正確には、教員組合の実態を書いた本の内容を紹介した記事)をお伝えします。
<アメリカの教員組合>
以前にもお伝えしましたが、アメリカにある2大教員組合は、
The American Federation of Teachers (AFT)
と
The National Education Association (NEA)
どちらもかなりの影響力を及ぼす組織で、今もウィスコンシン州、アイダホ州、ニュージャージー州など、教員組合と政治家の対決がすさまじいです(実は、それぞれの州で教員組合と州政府との記事は沢山あるのですが、どれも似たような感じで、敢えてこのブログで取り上げませんでした)。
今日は、今起こっている個々のケースではなく、一般的な情報をお伝えしようと思います。
<教員組合の影響力>
記事読んでびっくりしたのが、これら二つの教員組合が、
the nation's leading political donors in federal elections, contributing about 30 percent more money than the second highest contributor, AT&T
アメリカの連邦選挙で最も寄付金を行っている組織である!!
ということ。二番目に行っているAT&Tよりも30%以上多い、とはかなりの規模です。
時フェアファックス郡学校が再開するのですか?
さらに、選挙で教員組合の協力を受けた政治家は、組合と契約を交わし、公立学校が適切に機能するようサポートを行う約束をするらしく、実質これは、言うこと聞きますっていうことに等しいですが・・・。
<教員組合と地元の教育>
教員組合の影響力が、地元の教育で色濃くできる1つが、教育委員会の選挙。
実はアメリカ、意外に知られてないのが、Public Schools(公立学校)を統制する政策を実際作っているのは、州政府の役人ではなく(もちろん、州全体の大まかなフレームワーク的な政策はあるが)、地元の各教育委員会。
その為、教育委員会の選挙は、教員の利益に直接影響を及ぼすため、かなり重要な意味合いを持ちます。記事にある一例として、
カリフォルニア州のChater Oakという地域で教育委員会の選挙を行った所、教員以外の選挙投票率が7%、教員の選挙投票率が47%とほぼ半数。
これでは、教育委員会も適切に機能しなくても納得です。
さらに、その影響力は、学区(School Districts)のトップ、Superintendent(学区の最高責任者)にまで及びます。
実際、Superintendentも組合の支持なくして選挙で選ばれることは難しく、Superintendentが昔は教員組合の交渉責任者だったりします。
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一つはウェブサイトの名前をどのように確保しません
学区は、教員の働く各学校を管理・統制する立場にあるのですが、その統制する立場のトップが元教員組合の交渉責任者なのは、お互い監視し合う立場である人同士が、実は見方・・・なる無茶苦茶な組織です。
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<教員組合の実態>
今回の記事でなるほど!!という指摘として、
there is no counterweight to the union position
(教員組合に対抗する勢力がない)
ということは確かです。言われて気づくのが、彼ら教員は、沢山の数が存在し、追求する利益が全く共通しているため、団体として組織しやすいのも特徴の1つ。逆に、生徒の保護者は、別に利益が共通しているわけでもなく、学校教育をよくする!!なる目的で組織を作る必要もなく(あっても、狭い地域程度)、決して教員組合と対抗できるような感じではありません。
<教員組合・最大の関心>
彼らの今最大の関心は、
Tenure(終身雇用制)
これです。このブログでも何度も取り上げた、教員を解雇できない最も大きな壁は、このTenureシステムが存在するため。教員を対象としたアンケート調査でも、55%の回答が、
このTenureシステムがあるために、駄目な教員を解雇できない
ということを認めています・・・・・が、他方で、77%の回答が、
Tenureシステムをなくすことには反対、
自主的な組織は何ですか
という、やはり自己保身はありありとあります。つまり、これは教員対象のアンケートであるため、これを教員組合が代弁している、と言われればそうかもしれません。
ただ、一方、教員にとってはやや都合が悪い、Teacher Evaluation(教員評価)には意外にも肯定的であったりし、先ほど紹介した教員組合・AFTのトップは、この教員評価には賛成です(もちろん、教員にとって、負担が少ない形が望ましいとは思っているみたいですが)。
<教員組合の改革>
以前指摘しましたが、基本的に教員組合は、民主党支持団体です・・・・が、その民主党であるオバマ政権から教員組合の改革が今始まっています。
オバマ政権が、教員組合がこれまでの教育改革を阻害する要因だったことは気がついており、そのためそのアンチテーゼとして、生徒の学力テスト結果を用いた改革案を打ち出したのは、見るも明らか。
さらに、現在チャータースクールを拡大していますが、チャータースクールといえば、教員組合が作ったルールが当てはまらない学校運営を許可された学校なので、これまた教員組合が嫌う改革案。
また、私が興味深いと思った、教員組合への改革としての方法論として、
Information Technology
が指摘されています。
このブログでもお伝えしましたが、オンライン学習を普及される方向性である連邦政府は、それによって先生の役割も徐々に変化してきています。
オンライン学習を単位で認める方向である現在の教育改革ならば、必然的に先生の数は少なくならざるをえません。つまり、そういった流れに、教員組合が対応できるのだろうか?と指摘しています。
<総論>
今日の記事、具体的な教員組合の動きではなく、概略を述べた感じですが、大まかな説明としては、大変的を得ているように思えます。
アメリカなので、全州上記の話が当てはまるとは思いませんが、上記のようなことを考慮した上で、アメリカの教員組合の動きを見ていくと、さらに彼らの動向が理解できるのでは?と思います。
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